【「自分らしく」の落とし穴】
■『立ち直るための心理療法』がよかったので同じ著者の本を買ってみた。(ブックオフオンラインで買った。書き込みがあって残念(涙))
■寝ているときが一番楽しいといって憚らない。やりたいことをコロコロとかえる。夢とされる留学なのに留学先では試験をカンニングで乗り切るから大丈夫だと言い張る。転職探しのカウンセリングに夢中で肝心の職探しをしない。「心理的な問題がネックとなって就職しようとしない」人たちについて解決志向派にたつ著者が具体的なカウンセリングや海外の研究からの分析する本。
■やりたいことがなさすぎる若者とやりたいことにこだわりすぎる若者(そうしてどちらも職についていない)と、正反対のタイプを具体的に示したあと、6つのパーソナリティーを解説。それを拒絶性スタイルと自己愛性スタイルのふたつにわけさらに深く見てゆく構成。働こうとしない人たちをつくりあげる社会メッセージについての著者の考察で締めくくる。
■読んでいるとなんだかむずむずしてくる。ほんとうにむずむずする。こんな人が近くにいたら絶対いらいらしてしまう。だが、どうだ。ちょっとしたものいい、屁理屈やいいわけは、どうだ、自分もたまにやることじゃないか。
■なぜ人は拒絶性スタイルをとるのか。
個人が「不満だが、逆らいようがなく、自分は無力だ」と思う状況で(自尊心を守るための)防衛方法であるととらえればそれでいいのではないか、ということです。多くの人々がそのような場面で一時的に用いる戦略として考えてみよう、というわけです。(p.83)
ということだ。自己防衛したいとき、こういう態度を取りがちになる。層思った。彼らだけじゃない。わたしだけじゃない。多かれ少なかれ誰にでもあることだとおもう。
特別に偏った性格の持ち主だけを対象にするのではなく、「生きる戦略として拒絶性スタイルを用いており、そのために職業選択が困難になっている若者」を考察の対象にすることができるはずです。(p.83)
■働こうとしない人たちに、著者のこの言葉はどう響くだろう。
私は、「自分らしくなろう」と思って何かをしたことは今までただの一度もありません。「本を書く人になりたい」「精神病院で働いてみたい」という具体的なやりたいことがまずあって、ひたすらそれを目指していった、というだけです。そこにあったのは「これがしたい」という願望だけで、「自分らしく」というような思いはそこに入っていませんでした。
単純に単純なことを語っているが、いい話だとおもう。
「とにかく、やりたいこと」が最優先で、それを追求した結果、周囲から、「個性的」えあること」自体を目標とされるような価値があるものと感じたことはありません。やりたいことを、必死にやる、人生とは、ただそれだけのことでした。
「自分らしさ」「他人とは違う」を煽り続ける社会で、「だけど自分のやりたいことが見つからないんだ!」と、それでもなおそう叫ぶだけだろうか。働こうとしない人、働いている人、働いていない人、みんながこの言葉の意味を考えてみる必要がある気がした。
(08/03/25読了)
目次序章 二人のパラサイト―やりたいことの「なさすぎ」対「こだわりすぎ」(寝ている時が一番楽しい
志望をクルクル変えてはお金と時間を無駄遣い ほか)第1章 依存症から反社会性までの各パーソナリティーの布置(依存症を軸としたパーソナリティーの順列
自己チュー対他己チューという軸 ほか)第2章 拒絶性スタイル―消極的抵抗(一〇回転職したウォルター―職業生活と相性が悪い人々
遅刻とヘマの常習犯 ほか)第3章 自己愛性スタイル―ファンタジー(態度のでかい無職男カール
「自分は他人と違う」という強烈な自意識 ほか)終章 「私らしさ」飢餓社会の落とし穴(自己愛性スタイルを全面否定はできない
「他人と違うべし」のメッセージがあふれる社会 ほか)


[...] ■「立ち直るための心理療法」、「働こうとしない人たち」がおもしろかった矢幡 洋さんの本をまたよんでみた。これもとてもおもしろく読めたよ。 [...]