彼女の本当の生い立ちを、私は知ることが出来ない。
彼女に起こった、私の知りうる一番古い出来事は、姉妹共々スーパーのビニール袋にぎゅうぎゅう詰めにされ捨てられていたことである。
動物病院に勤める保護主さんが見つけたのでなければ、恐らくそのまま死んでいただろう。
ミルクから卒業し、トイレを覚えるまで、保護主さんが育ててくれた。姉妹のうち確か3匹は黒猫で、もう一匹が白黒。彼女だけ「毛色」がちがった。身体の大きさから、彼女が長女ということになっていたが、真実は彼女の母親しかしらない。どこで産まれたんだろう。どんなお母さんだったんだろう。こんな風にして、私は時折想像にふける。
保護主さんは「この子が一番強くて、すばしっこいんですよ」と言っていた。その割に、今の彼女は臆病で、おっちょこちょいで、遊んでいてもすぐに捕まってしまう。私が育てたから、こうなってしまったんだろう。
知らぬ間に捨てられ、知らぬ間に命拾いをし、知らぬ間に姉妹らと引き離され、私と一緒に住むことになった猫。
小さな命が命を産んで、捨てた命も捨てられた命もちっぽけだ。身体だけは彼女の何倍も大きく、魂は逆に吹き飛ぶほど小さい私と、彼女はいつまで一緒にいてくれるんだろう。
(2006/09/03 わたしの日記より。 いい具合にふてぶてしく育ちました)




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